INTERVIEW

東京レインボープライド ✕ 渋谷区観光協会

東京レインボープライド 代表 杉山文野さん
渋谷区観光協会 理事長 金山淳吾さん

【東京レインボープライドの立ち上げ経緯】

金山さん(以下:金):まず杉山さんが共同代表を務めている、東京レインボープライドについてですが、どのような経緯で立ち上がったのですか?

杉山さん(以下:杉):最初に東京レインボープライドを説明すると、これはLGBTの人が身近にいることをもっと知ってもらおう、その存在を知ってもらおうというイベントの総称なんです。 日本で一番大きなLGBTの啓発イベントで、年に一回『レインボーウィーク』という期間中に大きなシンポジウムから小さな勉強会、スポーツ大会やLGBT映画祭まで、様々なイベントを全国規模で60本ほど行っています。その期間中に『プライドパレード』という街を練り歩くパレードがあります。日本で初めてプライドパレードが行われたのは、1994年のことですね。

金:1994年!20年以上前から行われていたなんて知らなかったです。

杉:当時は、時代的・社会的な理由でなかなかうまく運営ができなかったり、活動として盛り上がれない状態が続いたので『毎年継続的に活動ができるようにしよう!』と、2011年に東京レインボープライドという任意団体が創立されました。今年で6回目の開催で、僕は2013年から共同代表として関わっています。

【ダイバーシティを、街の景色にしていく】

杉:渋谷区は2年前に同性パートナーシップ証明書が発行されてから、ダイバーシティ推進に力を入れていますよね。金山さんは渋谷区観光協会理事長というバックグラウンド以外で、何か感じることはありましたか? というのも、最近僕の友達が、原宿で男の子同士が堂々と手を繋いでいたところを見たそうで。渋谷区だからか、あのニュースの後だからかは分かりませんが、金山さんも何か具体的に変わったことはあったのかな、と気になりました。

金:暮らしの中でダイバーシティの推進を感じるのかというと、正直あまりないですね。僕は家族にセクシュアルマイノリティ(弟から妹になった)がいる中で育った経緯もあって、あまり違和感がないんです。 長谷部区長が日本で初めて同性パートナーシップ証明書の発行を実行したことはとても印象的でしたが、それが毎回ニュースになるようでは、街として辛いなと思うんですよ。社会全体がダイバーシティと感じがない状態こそが、進んだダイバーシティの街だと思うんです。だからこそニュースにはならなくても、ハッピーな関係性が増えている状態が良いなと感じますね。

杉:金山さんのおっしゃる通りで、長谷部区長と話す機会があった時にも『街の景色にしていく』という表現をよくするんですよね。僕も本当にそうだなと思っていて、例えば、障害者の人だからということではなくて、街中のショーウィンドウに義足のマネキンがいたり、男性同士が手をつないでいるマネキンがいたり。そういった形で街の景色になっていることが大事だよね、という話をしていたことを思い出しました。

金:そうですよね。マイノリティのコミュニティを過剰に前に押し出して「皆さんを尊重しているんですよ」と主張する、といったことは正しい形ではないと思うんですよ。LGBTの方々がナチュラルにそのことを話題にして話せたり、友達と一緒に行ける場所があることは素敵ですし、セクシュアルマイノリティの方だけではなく、年齢や障害も関係なく楽しめるチャンスが開けて行けばいいなと思っていますね。

【複雑で答えが出ない、それでもダイバーシティと向き合うこと】

金:いま渋谷区観光協会も、PLAY! DIVERSITY SHIBUYAという標語を掲げていて『多様な遊び方、楽しみ方のできる街が渋谷なんだ』という意味を込めているのですが、このダイバーシティという言葉を解釈するには難しいなと思うんですよ。それこそセクシュアルマイノリティの方だけではなくて、障害を持つ人、障害を持つ人の家族、高度医療を必要とするシニアの家族、はたまた子どもや、夢を持って出てきた孤独な青年、どれもダイバーシティだと思っています。

杉:僕も理想と現実が難しいなと思っているのは、数値化できないじゃないですか、ダイバーシティって。特にLGBTに関しては、カミングアウトした人は何%になったら成功ということでもないですから、何を数値化できるんだと考えてしまいますよね。例えば渋谷でLGBTフレンドリーなお店が何店舗になったらいいのか、なんてダイバーシティになった指標にならない。だからこそ、そういう中で走る、みんなの共通目標・共通認識があると分かりやすいのですが、なかなかそうはいかないから難しい。

金:そうなんですよ。いわゆる多様性って多様すぎるじゃないですか。

杉:きっと僕が捉えている多様性と、金山さんが捉えている多様性も違いますし。こうした点でバラバラな中で「でも多様ないい街にしたいよね!」と言っても「多様って何?」となってしまうわけです。 パレードをやりながらも思っているんですよね。1994年に初めて行われた時には参加者が約1000人、2012年は4500人、去年の2016年は70000人と、この5年間だけでもブワーッと人が増えていて。ということで考えれば、ある程度成功していると言えるのかもしれませんが、これからも変わらず倍に倍にとなるとは限りません。TOKYO RAINBOW PRIDEも渋谷区も、それぞれ走りきる中の共通目的があると理想的だなと思いましたね。

【ひとりひとりのマイノリティが、マジョリティになっている】

杉:こうしてダイバーシティを考えていると、マジョリティだ、マイノリティだということになりがちですが、どっちが良い悪いと言えることではないんですよね。セクシュアルマイノリティにプレッシャーをかけていることに気づいていないマジョリティの課題なのかというと、課題はマジョリティにあると思うんですよね。

金:僕、マイノリティ自体が課題でないと思うんですよ。マイノリティは時にチャンスであったり、迷いであったり、悩みであったり。そして、それが言い合える関係性があれば、ヒントになると思っていて。

杉:みんなが何かしら関係あるとか、もしかしたら自分の子どもがそうかもしれないし、子どもの友達がそうかもしれないし、教室の中に、オフィスの中に……と思うと、全部自分事だよな、ということをもっともっと感じてもらえればいいな、と思いますよね。誰しも一つくらい誰にも言えない秘密やコンプレックス、マイノリティ性ってあると思うんです。 そう考えるとマイノリティにとって優しい社会を作ることは、 結果的にマジョリティにとっても優しくてハッピーな社会になるのではないでしょうか。 そんな仕掛けづくりを渋谷を舞台にできたらいいなと。

【ビールを一杯飲みに来る気持ちで、遊びにきてください!】

金:そうですね!そんな皆が一丸となれるレインボーパレードがあるわけですが。去年も7万人という規模でレインボーパレードをやっていたことが本当にすごいですよね。

杉:今年は10万人を目指していますよ! イベントも今週の土曜から渋谷を中心にイベントが行われていくので、これを機に遊びにきてもらえたらと思っています。

金:手応えはどうですか?

杉:手応えを考える以上に準備でバタバタしていますが(笑)とにかくみんなに楽しんでもらえると思っていますよ!まだまだ「セクシュアルマイノリティ」と言うと一部の水商売の人かバラエティの人というイメージが強く、「自分とは住む世界が違う人」と捉えている方も多いように感じます。そのため『そういうイベントに自分も行っていいのかな?』と思う方も多いようですが、そんな方にこそいらしていただきたいなと思っています。年に一度の多様性のお祭り、LGBTだけではなく、どんな方でもお楽しみいただけると思いますので、是非ご家族やお友達と、もちろんお一人様でも!ビールを一杯飲みに来るくらいの気軽な感じで遊びにきてほしいと思います!